同一労働同一賃金対策は、勉強と相談をすることで解決に近づく

トップページでもお話しましたが、同一労働同一賃金で最も怖いのは「具体的な内容がわからない」ということです。
自分では「大丈夫、対策はできている」と思っていても自分の知らないところで同一労働同一賃金に反していたということはありえます。
そんなリスクを回避する方法は、勉強と相談です。

勉強

同一労働同一賃金についてしっかりと勉強すれば、自分の会社が問題ないかどうかを自分で調べられますし、素早い対処が可能になります。

同一労働同一賃金に関する疑問や対策例はインターネットで検索すれば見つかりますが、なぜそれが問題の解決になるのかというのを理解しなければ根本的な解決にはなりません。
よって、解決方法を知るのと同じく、基礎的な知識を深める必要もあるのです。

そんな同一労働同一賃金については、セミナーで学ぶことで理解度が深まります。
厚生労働省は働き方改革に向け、同一労働同一賃金に関するセミナーを定期的に開催しています。

時間外労働の規制や年次休暇の指定など、専門家による初心者向けのセミナーは多いです。

相談

勉強もいいですが、そんな悠長なことをしている時間はないというのであれば、相談をして解決しましょう。
厚生労働省は同一労働同一賃金に関する相談も受け付けていますし、場合によっては会社まで訪問してくれます。

よりオススメなのは、プロのコンサルタントを雇い、会社の現状を説明し、同一労働同一賃金に反していないか調べてもらうことです。
企業に関して知識があるプロのコンサルタントに依頼すれば、厚生労働省の窓口で相談するよりも専門的なアドバイスや回答がもらえる可能性があります。

同一労働同一賃金は既存の法律も見直し必須:定年後の雇用

同一労働同一賃金で注意しなければならないのは、既存の法律も見直さなければならないということです。
同一労働同一賃金以外にも非正規雇用者の待遇に関する法律は作られています。
また、同一労働同一賃金の思考により、既存の法律と照らし合わせると待遇を検討しなければならないケースもあります。
ここでは、そんな法律の中でも今後増えるであろう「定年後の再雇用」についてお話しましょう。

高年齢者雇用安定法

厚生労働省で書かれている高年齢者雇用安定法によれば、「従業員の定年を定める場合、定年年齢は60歳以上とする」という決まりがあります。
また、65歳未満を定年と定めている場合、「定年を65歳まで引き上げ」「65歳まで継続雇用制度導入(本人の希望があった場合、定年後も定まった年齢まで雇用を継続する制度のこと)」「定年の廃止」のいずれかを実施しなければなりません。

ここで問題になるのが、同一労働同一賃金の施行により、労働内容が同じ場合は待遇格差を作ってはいけないということです。
定年を迎えた後も本人希望で勤務を継続した場合、想定した人件費の減少もなくなるので、人件費が想定よりも多くなってしまいます。

ならば支払う給料を減らせば良いと思うかもしれませんが、過去に定年後の言及によって訴えられた例もありますし、同一労働同一賃金の施行によって言及は難しくなるでしょう。

仕事内容の見直し

同一労働同一賃金に際して定年後の待遇を考えるのであれば、対象となる方が優れているスキルを持っている場合は、今までと同じ待遇でも問題はありません。
しかし、該当しない場合は、仕事内容の変更が主な対策となります。

この問題に対して訴訟のリスクを避けたいのであれば同一労働同一賃金に詳しい方と相談し、双方納得できる落とし所を模索しましょう。

同一労働同一賃金で気になるポイント:スーパーマーケット

同一労働同一賃金の施行により、一番影響が出る可能性があるのがスーパーマーケットのような小売業者です。
様々な業種の中でも特にパートやアルバイトの比率が高い業種の小売業は、同一労働同一賃金でどういった影響が出るのでしょうか。

大手であればあるほど赤字のリスクに

同一労働同一賃金が施行された場合、小売業は大手であればあるほど赤字のリスクが増大します。
小売業では、販売すべき商品の陳列やレジ打ちなどの会計、お惣菜の調理などその殆どが非正規雇用者によって行なわれています。

そのため、規模が大きい小売業者であればあるほど非正規雇用者の数は増えていき、大手の場合は正規雇用者の倍以上の非正規雇用者を抱えることも珍しくありません。
そんなとき、同一労働同一賃金が施行された場合、非正規雇用者に支払う給料は一気に膨れ上がります。
結果、規模によっては総額1千億を超える可能性もありえます。

しかも、大手企業は2020年施行と中小企業よりも1年早く実行しなければなりませんし、この施策を無視することで非正規雇用者から訴えられる可能性も出てきます。
人数が増えれば増えるほど、そういった方無関係に詳しい人が従業員にいるケースは増えていくので、小売業を営むのであれば同一労働同一賃金対策は早めに取り組むことが重要となります。

具体的な対策

こういった同一労働同一賃金に対する小売業者が取れる対策としては、正規雇用者と非正規雇用者の仕事内容をしっかりと区分し、賃金格差の正当な理由を作ることが挙げられます。
同一労働同一賃金は、同一の仕事をしている場合にのみ適用されるため、雇用形態によって業務内容を区分することで同一労働同一賃金対策になります。

もちろん、賃金格差が生じる明確な理由付けを説明しなければなりませんので注意しましょう。
仕事内容の他にも責任、専門性なども交えて、誰もが納得できる理由付けを行ないましょう。